
読書感想文が苦手で、課題となるたび困ってしまうことはありませんか?
本を読むことにも、感想を書くことにも苦痛を感じてしまう人も多いと思います。
そんな人のために、年間50~100冊を読破する私から、読書感想文向きの図書を紹介させていただきたいと思います。
また、感想文の書き方についても、具体例を交えてご紹介します。
物語のどんなところを切り取って、どんな意見・感想を書けばいいかが理解できるようになります。
この記事を最後まで読めば読書感想文をテンプレート化できるようになるため、今後の課題に困ることもなくるでしょう。
早速ですが結論です、この3冊にしておけばスラスラ書けます。
- 夜市/恒川光太郎
- 高瀬舟/森鴎外
- コンビニ人間/村田沙耶香
いずれも短い物語でストーリーも分かりやすく、読了までのストレスがありません。何に着目して読み、どこから何を感じ取ると読書感想文が書きやすいのかをお話しします。
何に対しての感想を述べたらいいの?
小説を読んでいて、いつの間にか文字を追いかけているだけの状態になってしまっている人も多いのではないでしょうか?
そんな時は、主人公をはじめとした登場人物たちの変化に着目して読み進めると感想が述べやすくなります。どんな出来事が、どんな風に人を変えたのかを感じ取り、その変化に対するあなたの感想を描き出してみましょう。
夜市/恒川光太郎
本書では、以下2つのポイントに着目してみましょう。
世界観
本書の魅力のひとつが世界観です。読書をする上で、グイグイと引き込まれる舞台設定は非常に大きな役割を持っています。本書は魔物たちが集う異界の市場「夜市」で繰り広げられます。森を抜け、迷い込んだ夜市に広がる妖しくも美しい光景に魅了され、あっという間に読了すること間違いありません。
過去との向き合い方
誰もが過去に過ちを犯したことがあると思います。本書の主人公もその一人です。子供のころに犯した過ちへの罪悪感で押し潰されそうになりながらも、必死に過去と向き合う主人公の姿が描かれています。
誰もが過ちを犯しますが、誰もが罪と向き合えるわけではありません。向き合える人間とそうでない人間。自分がどちらの人間であるのかを問われる一冊です。
高瀬舟/森鴎外
本書では以下2つのポイントに着目してみましょう。
喜助の気持ち
主人公・喜助の弟は、働けなくなったことで生きることに負い目を感じ、ついには自殺未遂を図ります。死にきれず半死半生で苦しむ弟は、自分を殺してくれと喜助に懇願します。
喜助は葛藤の末に弟を手に掛けます。喜助の行いは愚行か善行か、喜助に望まぬ親類殺しを決断させた決め手は、一体どんなものだったのでしょうか。
現代への置換
物語は江戸時代を舞台としていますが、本書の根幹は現代にも通じることがあります。近年で思い出されるのは、ASL患者への医師の嘱託殺人事件です。
余命僅かの患者に依頼され医師が安楽死を与えた事件でしたが、これは大いに議論されました。人の尊厳を守るためする殺人は成立するでしょうか。死を望む側と与える側の両面に自分を置き、それぞれの答えを読書感想文に書いてみましょう。
コンビニ人間/村田沙耶香
本書では以下2つのポイントに着目してみましょう。
個性と多様性
多くの人が、一度は個性的な存在に憧れを抱いたことがあるのではないでしょうか。変わっている、普通じゃない、そんな言葉をどこか賞賛のように感じている人もいるかもしれません。
しかし、本書の主人公・恵子にそれはありません。幼少期から自らが持つ常識と良識が、世間のそれと乖離していることに苦悩します。
普通でなくてはならない、私は治らなくてはならない、そんな思いを抱えながら息苦しく生きている恵子の姿は、きっと現代人の共感を呼ぶでしょう。
個性的でありたい反面、異物になり、弾き出されることへの恐怖心がある人にこそお奨めします。主人公の友人として、傍で見守るように読んでほしい一冊です。
主人公の変化
恵子は普通になるべく、さまざまな努力をします。そして、普通の人や変わった人との経験が、恵子を少しずつ変えていきます。
ラストシーンで吹っ切れた表情の恵子を想像したとき、きっと強い爽快感を得られることだと思います。誰もが自分の性格に悩み、対人関係に悩み、それでも自分を自分として守りながら生きていくことの難しさに直面します。その悩みの乗り越え方を本書の主人公が見せてくれます。
それでも読書感想文が難しい
ここまで図書の読み方をご紹介してきました。ですが、「いくつか感想を書いたけど、原稿用紙を埋めきれなくて宿題が終わらない」という方もいるかもしれません。
中学三年生の課題として出される平均的な読書感想文では、原稿用紙4〜5枚を要求されます。確かに感想部分だけでは苦しいかもしれません。そんな時は、感想文の冒頭に以下のニ点を加えてみましょう。
本を選んだ理由
その本を知った理由や、出会ったきっかけなどを書いてみましょう。本屋に行ったとき装丁が目を引いたから、有名な文学賞を受賞した話題作だったからなど、何を書いても大丈夫です。
あらすじ
その本の大まかな話の筋を書きましよう。舞台設定や物語の展開を簡単にまとめて書くと良いでしょう。
いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように、といった要素を中心に考えるとまとめやすいかと思います。
まとめ
いずれも短い物語でストーリーも分かりやすく、読了までのストレスがありません。前述した点に視点を置き、読書を楽しんで下さい。